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1型糖尿病患者8人が国に逆転勝訴 障害年金停止は「違法」

免疫異常などで血糖値を調整するインスリンが作れなくなる「1型糖尿病」を発症したのに、障害基礎年金の支給を止められたのは不当として、患者8人が国に処分取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が19日、大阪高裁(本多久美子裁判長)であった。高裁判決は原告敗訴とした一審・大阪地裁判決を取り消し、8人全員を支給対象と認め、国の処分を取り消した。

8人は30~50代の男女で、未成年の時に発症。成人後に障害基礎年金を申請し、支給対象となる障害等級2級と認定されたが、国は2016年までに8人の等級を3級と見直し、支給を止めた。厚生労働省は障害一般の2級の認定基準を「日常生活が極めて困難で労働で収入を得られない程度」としており、地裁はこれを踏まえて8人は該当しないと判断した。

だが高裁判決は、この基準は指標の一つに過ぎないと指摘。「1型糖尿病の特性や症状、労働の状況を含む具体的な日常生活の状況を考慮した総合的な認定をし、日常生活が著しく制限されているかを判断すべきだ」との考えを示した。

その上で、患者は血糖値を調整する注射が生涯欠かせず、怠れば昏睡(こんすい)状態になる場合もあることなどから「常に不安を抱え、食事や行動、仕事に慎重な配慮を要する生活を強いられる」と言及。原告8人も同様の状況におかれ、いずれも2級に当たり、国の処分は違法と結論づけた。

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