賃金

1.賃金とは

労基法では、「賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。」と定義されている。支給されているもののうち、支給の条件が実費弁償的なもの、恩恵的なもの、労働の対価とはみなされないものは賃金と判断されない。

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名称内容
賃金となるもの基本給月給・日給・時給等の形態を問わず支払う基本賃金
賞与夏季・冬季等に支払うもの
通勤手当課税分・非課税分を問はない
休業手当労基法26条に基づき、事業主の責めに帰すべき事由により支払う手当
社会保険料・
雇用保険料等
労働者の負担分を事業主が負担する場合
賃金とならないもの慶弔金任意的、恩恵的に支払われるもの
出張旅費実費弁償と考えられるもの
解雇予告手当労基法20条に基づいて労働者を解雇する際、解雇日の30日以前に予告せずに解雇する場合に支払う手当
傷病手当金健康保険法99条の規定に基づくもの
会社が全額負担する
生命保険の掛け金
従業員を被保険者として保険会社と生命保険等の契約をし、事業主がその保険料を全額負担するもの

2.賃金支払の5原則

労基法では、労働者にとって唯一の生活保障の手段である賃金を確実に労働者に支払われるように賃金の支払方法を規制している。

賃金支払の5原則

3.最低賃金

最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度

1)
最低賃金の種類
最低賃金には、地域別最低賃金及び特定最低賃金の2種類がある。
なお、地域別最低賃金及び特定最低賃金の両方が同時に適用される場合には、使用者は高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない。
2)
適用される労働者の範囲
地域別最低賃金は、産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に対して適用される。特定最低賃金は、特定地域内の特定の産業の基幹的労働者とその使用者に対して適用される。
3)
派遣労働者への適用
派遣労働者には、派遣先の最低賃金が適用される。
4)
対象となる賃金
最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金で、実際に支払われる賃金から一部の賃金(割増賃金、精皆勤手当、通勤手当、家族手当など)を除いたものが対象となる。
5)
最低賃金額の確認方法 
最低賃金額以上となっているかどうかは、賃金額を時間当たりの金額に換算し、最低賃金(時間額)と比較する。

4.平均賃金

平均賃金とは、労基法上の一定の金銭による補償や給付等を算定する際に用いられるもの。
平均賃金は、直前の賃金締切日以前3か月間に支払われた賃金額をもとに算出する。

1)
平均賃金を用いる規定
①解雇予告手当
②休業手当
③年次有給休暇の賃金
④休業補償等の災害補償
⑤減給制裁の制限
2)
算式

(原則)

平均賃金額=
直前3か月間の賃金総額
(支給総額)
3か月間の総日数 (暦日数)
(最低保障):賃金が日給、時給、出来高給で決められている場合

直前3か月間の賃金総額
(支給総額)
3か月間の労働日数
×0.6

5.休業手当

休業手当とは、使用者の責めに帰すべき事由によって労働者が就業できなかった場合にその休業期間中の労働者の生活を保護するため、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払うことをいう。

1)
使用者の責めに帰すべき事由に該当する場合

  • 親工場の経営難から下請工場が資材、資金の獲得ができず休業した場合
  • 事業場における一部の労働者のストライキの場合に、残りの労働者を就業させることが可能であるににもかかわらず、使用者がこれを拒否した場合
  • 法人の解散により即時解雇をした労働者に対し、清算事務の遅延等により、支払うべき解雇予告手当を支払わない場合の、当該手当の支払日までの期間
2)
使用者の責めに帰すべき事由に該当しない場合

  • 使用者の正当な争議行為としての作業所閉鎖による休業
  • 代休付与命令による休業
  • 労働安全衛生法66条による健康診断の結果に基づいて使用者が休業ないし労働時間の短縮を行った場合

対応地域

東京都23区(世田谷、渋谷、新宿、目黒、港、品川、千代田、中央、文京、台東、墨田、江東、大田、中野、杉並、豊島、北、荒川、板橋、練馬、足立、葛飾、江戸川)
東京都23区以外
神奈川県、埼玉県、千葉県