管理監督者

1.一般労働者との違い

①労働時間 ②休憩 ③休日 の規定が適用されない。
①③により、時間外割増賃金、休日割増賃金の支払いが不要となる。
*深夜割増賃金、有給休暇は適用される。

適用の有無
労働時間×(時間外割増賃金)
休憩×
休日×(休日割増賃金)
深夜割増
有給休暇

2.判断基準

1)経営者と一体的な立場で仕事をしている
管理監督者は経営者に代わって同じ立場で仕事をする必要があり、その重要性や特殊性から労働時間の制限を受けない。経営者と一体的な立場で仕事をするために経営者から管理監督、指揮命令に係る一定の権限を委ねられている必要がある。

2)出社、退社や勤務時間について厳格な制限を受けていない
時を選ばず経営上の判断や対応を求められることがあり、労務管理においても一般の従業員と異なる立場に立つ必要がある。よって、出退勤時間は厳密に定めることができない。

3)その地位にふさわしい待遇がなされている
職務の重要性から、地位、給料その他の待遇において一般社員と比較して相応の待遇がなされている。

これらの判断基準を満たしていない場合は、管理監督者とは言えず、社内で管理職となっていても時間外割増賃金、休日割増賃金の支払いが必要となる。

*管理職 ≠ 管理監督者

3.多店舗展開する小売業、飲食店等における管理監督者の判断

管理監督者を否定する重要な要素

1)職務内容、責任と権限についての判断要素

  • アルバイト・パート等の採用に関する責任と権限が実質的にない
  • アルバイト・パート等の解雇に関する事項が職務内容に含まれておらず、実質的にもこれに関与しない
  • 部下の人事考課に関する事項が職務内容に含まれておらず、実質的にもこれに関与しない
  • 勤務シフト表の作成又は所定時間外労働の命令を行う責任と権限が実質的にない

2)勤務態様についての判断要素

  • 遅刻・早退等により減給の制裁、人事評価で負の評価など不利益な取扱いがされる
  • 営業時間中は店舗に常駐しなければならない、あるいはアルバイト・パート等の人員が不足する場合にそれらの者の業務に自ら従事しなければならない等により長時間労働を余儀なくされている場合のように、実際には労働時間に関する裁量が殆どないと認められる
  • 管理監督者としての職務も行うが、会社から配布されたマニュアルに従った業務に従事しているなど労働時間の規制を受ける部下と同様の勤務態様が労働時間の大半を占めている

3)賃金等の待遇についての判断要素

  • 基本給、役職手当等の優遇措置が、実際の労働時間数を勘案した場合に、割増賃金の規定が適用除外となることを考慮すると十分でなく、当該労働者の保護に欠けるおそれがあると認められる
  • 1年間に支払われた賃金の総額が、勤続年数、業績、専門職種等の特別の事情がないにもかかわらず、他店舗を含めた当該企業の一般労働者の賃金総額と同程度以下である
  • 実態として長時間労働を余儀なくされた結果、時間単価に換算した賃金額において、店舗に所属するアルバイト・パート等の賃金額に満たない。特に、当該時間単価に換算した賃金額が最低賃金額に満たない場合は、管理監督者性を否定する極めて重要な要素

対応地域

東京都23区(世田谷、渋谷、新宿、目黒、港、品川、千代田、中央、文京、台東、墨田、江東、大田、中野、杉並、豊島、北、荒川、板橋、練馬、足立、葛飾、江戸川)
東京都23区以外
神奈川県、埼玉県、千葉県