労働契約
1.契約の形態
当事者の一方(=請負人)がある仕事の完成を約束し、相手方(=注文者)がその仕事の結果に対して報酬を与えることを約束することにより成立する契約。
当事者の一方(=委任者)が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方(=受任者)がこの委託を承諾することによって成立する契約。
当事者の一方(=労働者)が相手方(=使用者)に対して労働に服することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約束することにより成立する契約。
基本的に雇用契約(民法)と労働契約(労働基準法)は殆ど同じ概念と考えられる。ただ、民法上の雇用契約は対等な立場での労使当事者を想定しているのに対して、労働契約は従属労働を前提にしているという点に相違点がある。
2.労働契約の締結
効力:労働基準法、就業規則に反する労働条件がある労働契約は、その部分は無効となり、労働基準法、就業規則の基準によることになる。
この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による。
就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において無効となった部分は、就業規則で定める基準による。
【労働契約と法令等との効力】
3.契約の期間
◎期間の定めのない労働契約:正社員、無期契約社員等
◎期間の定めのある労働契約:有期契約社員(パートタイマ―、アルバイト、派遣社員等)
労働契約において期間の定めをする場合には、3年を超える期間を定めてはならないこととされており、3年を超える期間を定めた場合には、契約期間は3年に短縮される。
また、表①・②の場合は、契約期間の上限を5年以内とすることができ、5年を超える期間を定めた場合には、契約期間は5年に短縮される。
4.無期転換ルール
有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込により、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルール。通算5年のカウントは平成25年4月1日以降に締結した有期労働契約から開始する。(労働契約法第18条:平成25年4月1日施行)
無期転換の条件
- 同一の使用者との間で締結された2以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間(これを「通算契約期間」という)が5年を超えていることが要件となる。
*同一の使用者とは、労働契約の締結主体(企業)を単位として定めるものであり、例えば、A店舗からB店舗に勤務場所を変更する等、事業場を変えても労働契約の締結主体に変更がなければ雇用契約を継続しているとみなされる。 - 契約期間が5年を超えていなくても、例えば、契約期間が3年の有期労働契約を更新した場合は、通算契約期間が6年になるため、4年目には既に無期転換申込権が発生していることになる。
- 通算契約期間は、改正労働契約法の施行日である平成25年4月1日以降に開始した有期労働契約から算定する。
- それ以前に開始した有期労働契約は、通算契約期間の算定の対象とはならない。
契約更新が1回以上行われていることが無期転換申込権発生の要件となる。
- 通算5年を超えて契約をしてきた使用者との間で、現在、有期労働契約を締結していることが要件となる。
- 無期転換申込権の発生を免れる意図をもって、就業実態がそれまでと変わらないにもかかわらず、派遣形態や請負形態を偽装して労働契約の締結主体を形式的に他の使用者に切り替えた場合、同一の使用者の要件を満たしているものと解釈される。
※平成25(2013)年4月1日以降に開始する有期労働契約が対象です。