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オワハラ防止、政府が経済団体に要請

企業がポストコロナを見据え採用を活発化させる中、採りたい学生に他社との接触を断つよう迫る「オワハラ」(就活終われハラスメント)が深刻になっている。学生を守るため対策に乗り出す大学も出てきた。オワハラは職業選択の自由を妨げるとして、政府は経団連と日本商工会議所に防止徹底を要請した。

オワハラは、内定や内々定を出したり、選考が進んだりした学生を囲い込むため、企業の採用担当者らが就職活動の終了を学生に迫る行為だ。他企業の選考や内定の辞退を強いる▽労働契約を結ぶ「内定」前に書面で入社意思を確認する「内定承諾書」を書かせる▽内定者研修や懇親会を開いて学生を事実上拘束する――などで、就活生に心理的な負担を与えるケースがある。

新卒採用制度に詳しい千葉商科大の常見陽平准教授によると、内定や内々定の辞退は法的にも可能。ただ、就職先を見極めたい学生に対し、企業は早期に新年度の陣容を固めたいなどの事情があり、しつこく決断を迫る行為につながっている。他社の内定や選考の辞退を条件に、採用の約束を交わす企業もあるという。

オワハラは2015年ごろ社会問題化し始め、同年の「ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされた。労働現場の人手不足が進んで学生優位の「売り手市場」が定着したほか、新卒内定率はコロナ禍以前の水準を回復しており、人材の奪い合いで被害が広がる恐れがある。

内閣府が21年度、大学生らに実施した就活に関する調査によると、全体の約1割が「オワハラを受けたことがある」と回答。内容別(複数回答)では、他社への就活をやめるよう強要された(64・0%)▽承諾書の提出要求(42・3%)▽辞退を申し出たところ何度も説明や拘束を受けた(11・6%)――が目立った。

小倉将信共生社会担当相は、経団連と日商に対し、25年卒の就職・採用活動を巡る要請文を提出。その中でオワハラについて「就職をしたいという学生の弱みに付け込んだ」行為と初めて位置づけた上で、学生の職業選択の自由を妨げるとして防止徹底を求めた。

 

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