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電機大手、「ジョブ型」加速

日立製作所や富士通など電機大手が、職務内容を明確化する「ジョブ型」の人事制度の導入を管理職から一般社員へと加速させている。デジタル化の進展や海外事業の拡大など経営環境が大きく変化する中、旧来の日本型雇用では、激化する海外企業との人材獲得競争を勝ち抜けないためだ。今週から労使交渉が本格化する春闘でも論点になりそうだ。ジョブ型の人事制度では、各ポストに必要な知識や経験、能力、資格を職務記述書に明記。これに当てはまる人材を年齢にかかわらず起用するのが特徴だ。社内外から専門性や意欲のある人材を集めやすくなる利点がある。日立はリーマン・ショック後の決算での巨額赤字計上を受け、事業構造の転換とともに人事制度の変革に着手。今ではグループ37万人の従業員のうち21万人が海外社員だ。中畑英信執行役専務は「新卒一括採用や年功序列の人事制度では、多様な人材が(日立に)入ってこない」と日本型の課題を指摘する。今年7月から日立本体の一般社員にもジョブ型の導入を進める。新型コロナウイルス禍で広がった在宅勤務など柔軟な働き方を推進する上でも重要性が増している。中畑氏は「遠隔勤務に必要な役割の明確化は、ジョブ型の考え方と整合する」と話す。富士通では2020年度に管理職でジョブ型を採り入れ、来年度から一般社員への適用を目指す。社内公募制度も導入しており、平松浩樹執行役員常務は「社員が自律的に自分のキャリアを考えて行動・挑戦することが求められる」と強調する。平松氏は、賃金体系についても「労働市場に照らし、職務や役割ごとに個別に設計していく世界になる」との見方を示した。このほか、NECも23年度をめどに全社員を対象にジョブ型の人事評価制度を採用する方針だ。経営側を代表する経団連は、日本型とジョブ型雇用を組み合わせ、各企業に合った「自社型雇用システム」の検討を推奨する。一方、連合の芳野友子会長は人材の流動性が高まることに理解を示しつつ、「雇用の確保が第一義だ」とくぎを刺す。

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