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育休給付金を非正規労働者などにも

政府は、子どもが1歳になるまでの間の育児休業中に支払われる育児休業給付の対象者を拡大するため、制度の抜本的見直しの検討に入った。現在の対象は正社員を中心とした雇用保険の加入者に限られているが、非正規労働者や、出産や育児で離職した再就職希望者などを念頭に拡大をめざす。財源問題を伴うだけに、負担をどうするかが大きな焦点となる。

少子化対策は喫緊の課題で、育休給付の対象拡大は、子育て世代が男女ともに収入やキャリア形成に不安なく、仕事と子育てを両立できる環境整備を進めるねらいがある。見直しの背景には、雇用保険制度の限界がある。加入には「週の労働時間が20時間以上」「31日以上の雇用見込み」などの要件があり、加入できる非正規労働者は一部にとどまる。フリーランスや自営業者も対象外だ。

そもそも雇用保険の主な財源は事業主と労働者から徴収する保険料のため、子育て支援より失業防止が重視され、育休給付の対象者は限定されている。それでも近年は利用者が増え続け、来年度に赤字に陥る可能性がある。このため、政府内では現行制度では対象拡大は難しいとの見方が強い。給付を雇用保険制度から切り離す案も浮上しているが、その場合、新たな財源をいかに捻出するかが課題となる。首相は昨年の自民党総裁選で、消費増税は「10年程度は上げることは考えていない」と「封印」しており、「考えられる財源は限られる」(政府関係者)という。現時点で浮上しているのは、医療保険や介護保険といった他の公的保険から「協力金」を拠出させる案や、全国の企業から集めている「事業主拠出金」を活用する案などだ。ある政府高官も「企業から協力を得たい」と漏らす。ただ、いずれも企業や個人に対して負担増となるため「参院選の前には議論できない」(政府幹部)のが本音で、具体的な検討は選挙後に先送りされている。政府は、妊娠や出産、育児を通じて切れ目ない支援をするため、一元的な支援体制や制度をつくりたい考えで、年末にかけて今後の取り組みを工程化する方針だ。その過程で育休給付の拡大範囲などを議論し、実現に必要な財源をどう確保するのかを検討する。

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