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過労で脳内出血、後遺症を苦に自殺は労災

 外食チェーン「ラーメン山岡家」の男性店長が49歳で脳内出血を発症し、後遺症を苦に約1年半後に自殺したことについて、労災認定されていたことがわかった。遺族らが記者会見して明らかにした。

 遺族側によると、男性は2015年10月、名古屋市内にある24時間営業の店舗で店長として勤務中に脳内出血などで倒れた。直前2カ月間に月平均で98時間30分と、過労死ラインを超える時間外労働(残業)をしていたとして、名古屋南労働基準監督署が労災だと認めた。

 男性は右半身がまひして通常の会話が難しくなるなどの後遺症が残り、17年5月に入所していた介護施設で自ら命を絶った。自殺を労基署が労災と認めず、遺族側が不服として愛知労働局に審査を請求。審査官は19年1月、後遺症による社会復帰の難しさを苦にした精神障害が原因だったとして労災認定した。

 男性の姉は会見で「おれのほうが残業時間が長いとかパワハラのほうがつらいとか思った方こそ、わがこととしてこの小さな事実を知ってほしい」と訴えた。

 遺族は全国で150店以上のチェーンを運営する丸千代山岡家(札幌市)に損害賠償を求めた民事訴訟も起こしていた。今年3月30日に東京地裁で和解が成立。再発防止策の一環で「11時間以上の勤務間インターバル(終業から次の始業までの休息)制度の導入の検討」「健康診断受診のための特別有給休暇制度の創設」などで合意したという。

 会見に同席した遺族側弁護士は「和解のなかに再発防止策が入り、その具体的な中身が公表されるのは珍しい」と指摘した。

 同社は取材に対し、「当時の労務管理に不備があったと認識し、再発防止策を進めている。引き続き安心できる労働環境をつくっていきたい」(管理本部)としている。

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