解雇-1

解雇権濫用法理

労働契約法で「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と規定しています。
解雇は、労働者に与える影響が大きく、解雇に関する紛争も増大していることから、解雇に関するルールをあらかじめ明らかにすることにより、解雇に際して発生する紛争を防止し、その解決を図る必要があるとし、権利濫用に該当する解雇の効力について規定したものです。体調が悪く連絡できないまま無断欠勤をしたといったやむを得ない理由があった場合や、単に商品を壊した、服装がだらしないといった理由だけで解雇することはできません。

解雇 客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合 解雇権の濫用 解雇無効

解雇の種類

種類 要件
普通解雇 整理解雇、懲戒解雇以外の解雇で、就業規則による解雇事由をもって行われる解雇
懲戒解雇 著しく重大な違反をした場合に懲戒処分として行われる解雇で解雇事由は就業規則や労働契約書に列記されたものでなければならない
整理解雇 会社の経営悪化により倒産などの回避を目的とするための人員整理として行われる解雇

1. 普通解雇と懲戒解雇
解雇は上記3種に大別されていますが、整理解雇は普通解雇の一つともいわれています。解雇には就業規則と労働契約書(労働条件通知書)に、どんな時に解雇されるかの解雇事由を明示してあることが必要です。解雇事由には解雇事由を限定的に列挙したもの(限定列挙)、例示的に列挙したもの(例示列挙)どちらで判断するかが問題となります。

普通解雇の場合、限定列挙とする考え方と例示列挙とする考え方があります。これに対し、懲戒解雇の場合は、就業規則の懲戒解雇事由にあたらない事由によって懲戒解雇することはできない(限定列挙)とされています。それは、懲戒解雇が企業秩序に対する従業員の著しい不良行為、非行、信義則違反等を戒める事を目的とする懲戒処分のうち最も重い処分として行われるものであるため、解雇事由は就業規則に定めておく必要があると考えられているためです。また、懲戒解雇の場合は、即時に解雇されたり、退職金が減額されたり不支給となる場合があるため、労働者にとってより不利益が大きいといえます。そのため、懲戒解雇の有効性を判断する場合は、就業規則上の懲戒解雇事由に該当すること、従業員の行為と懲戒解雇として処分することとのバランスがとれていること、同じ程度の違反については、同一種類、同程度の懲戒とされること、適正手続きの保障など罪刑法定主義に準じた措置が取られていることなどの点から、普通解雇に比べ厳格に判断されています。

懲戒解雇の手順

STEP1 解雇しなければならない事由を正確に把握する

STEP2 その解雇事由に対して、就業規則の解雇規定を適用することができるかどうかを検討する(就業規則違反の解雇は無効)

STEP3 解雇方法が、労働基準法第19条・第20条・第21条の解雇条項に違反していないか検討する

STEP4 解雇が、労働基準法、男女雇用機会均等法、労動組合法等に基づく差別的取扱いの禁止に違反していないかどうか検討する

STEP5 過去の裁判における判例などを検討して、解雇の正当性を確認する

STEP6 弁明の機会を与える

2. 整理解雇
整理解雇するか否かは経営権の一内容として、原則として使用者に裁量権があります。
しかし、いかなる整理解雇でも有効であるというわけではありません。整理解雇であっても、使用者が客観的に合理的な理由なく解雇権を行使したものである場合は、権利の濫用となり、その解雇が無効となる点は一般の解雇と変わりません。
従来の裁判例では、整理解雇が有効を認められるための要件として次の4つの要件を満たす必要があるとするものが多くみられます。

  1. 人員削減の必要性
    企業を維持存続させるためには人員削減が不可欠である場合などをいうもので、それほどの業績不振であったかどうかが問われるというもの
  2. 解雇回避のための努力
    整理解雇をする前に、役員報酬をカット、新規採用の見送り、パート・アルバイトの期間満了による雇止め、労働時間の短縮、希望退職者の募集などあらゆる努力を尽くしたかどうかなど問われるというもの
  3. 対象者の人選の合理性
    人選の基準が抽象的で評価者の主観に委ねられているようなことがないかどうかを問われるというもの
  4. 解雇手続きの妥当性
    労働者または労働組合がある場合はその組合と人員整理の必要性について、説明、協議をするなど手続を踏んでいるかどうか問われるというもの

3. 使用者の主張・立証責任
解雇について裁判上で争われる時に、その事実を主張・立証する責任は使用者側にあります。これは、解雇に合理性や社会通念上の相当性があることの事実を使用者側が立証しなければ、その解雇が無効となるという結論に傾くということになります。


佐々木社会保険労務士事務所 更新情報
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