労働契約・雇止め

労働契約上の義務

労働者を雇った場合、使用者と労働者の間で書面を交わしたか否かにかかわらず労働契約を締結したことになります。労働契約は、契約当事者それぞれが義務を負う双務契約の一種ですから、使用者、労働者の双方が、労働契約の内容を誠実に履行しなければなりません。
労働契約の場合は、労働者は労働に従事し、使用者はその報酬として賃金を支払うことが前提となります。

使用者 賃金の支払い 労働者 労働力の提供

労働条件の明示

労働者を雇い入れる時は、雇い入れ時に労働条件を明示しなければなりません。そして、労働条件には、その事項によって、賃金や労働時間など必ず明示しなければならない絶対的明示事項と定めがある場合には必ず明示しなければならない相対的明示事項とがあります。絶対的明示事項(昇給に関する事項を除く)は、書面の交付により明示しなければなりません。
しかし、後でトラブルにならないよう、相対的明示事項も含めて、主な労働条件を労働条件通知書に記載して渡しておく方が望ましいです。

労働条件の明示事項

絶対的明示事項 @労働契約の期間
A就業の場所・従事する業務の内容
B労働時間に関する事項
始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交替
制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項
C賃金の決定(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く)・計算・支払いの方法、
賃金の締切り・支払いの時期に関する事項、昇給に関する事項
D退職に関する事項(解雇の事由を含む)
相対的明示事項 E退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定・計算・支払いの方法、
退職手当の支払の時期に関する事項
F臨時に支払われる賃金、賞与及び最低賃金額に関する事項
G労働者に負担させる食費、作業用品その他に関する事項
H安全・衛生に関する事項
I職業訓練に関する事項
J災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
K表彰、制裁に関する事項
L休職に関する事項

労働契約期間

労働契約において契約期間を定める場合には、3年を超える期間を定めてはならないこととされており、3年を超える期間を定めた場合には、契約期間は3年に短縮されます。また、次の(1)・(2)の場合は、契約期間の上限を5年以内とすることができ、5年を超える期間を定めた場合には、契約期間は5年に短縮されます。

1. 高度の専門的知識、技術又は経験を有する労働者がその高度な専門的知識等を必要とする業務に就く場合

2. 満60歳以上の労働者を雇い入れる場合(更新期間は5年以下)
また、一定の事業の完了に必要な期間を定める場合には、例外として、3年を超える契約期間を定めることができます。

契約期間
期間の定めのないもの(正社員契約)
有期労働契約 原則 3年
高度の専門的知識等を有する労働者 5年
(更新も5年)
満60歳以上の労働者
有期事業(ダム建設等) なし(事業終了まで)
認定職業訓練を受ける労働者 訓練期間の範囲内

有期労働契約の締結・更新・雇止め

有期労働契約に係る労働者の適正な労働条件を確保するために、有期労働契約の締結、更新及び雇止めにあたり、手続及び契約期間に関して使用者は以下の事項に留意する必要があります。

1. 契約締結時の明示事項等
@有期労働契約の締結に際し、更新の有無を明示しなければならない。
A契約を更新する場合があると明示した時は、更新する場合、しない場合の判断基準を明示しなければならない。

2. 雇止めの予告
有期労働契約(有期労働契約が3回以上更新されているか、1年を超えて継続雇用されている労働者に限る。あらかじめ更新しないことを明示されているものを除く)を更新しない場合には、少なくとも契約期間満了の30日前までに、その予告をしなければならない。

3. 雇止め理由の明示
@上記(2)の場合で、労働者が更新しない理由について証明書を請求した時は、遅滞なく交付しなければならない。
A使用者は、有期労働契約が更新されなかった場合で、労働者から更新しなかった理由について証明書を請求された時は、遅滞なく交付しなければならない。

4. 契約期間についての配慮
契約を1回以上更新し、かつ1年を超えて継続勤務している者の有期労働契約を更新しようとする場合には、契約の実態や労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければならない。

雇止めと解雇権濫用法理の類推適用

雇止めとは、有期労働契約を繰返し更新し、一定期間雇用継続をした後に期間満了を理由として労働契約を終了させることです。雇止めされた当事者である労働者は契約更新が繰返されている段階で突然期間満了で契約を終了された場合には職を失い、次の就労先がすぐに決まらず生活に影響が出てくることもあります。そのような事でトラブルが起きないよう上記、有期労働契約の締結・更新・雇止めで使用者には注意を促しています。この雇止めが実質期間の定めのない労働契約と判断された場合には、解雇権濫用法理(解雇―1 解雇権濫用法理を参照)が類推して適用されます。これは、労働契約期間満了だけを理由として雇止めすることはできずに解雇に相当するような理由がなければ労働契約の終了が認められないというものです。

佐々木社会保険労務士事務所 更新情報
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